普通、肯定的な意味で
近代建築と呼ばれる建築作品は
まず全体を統合するコンセプト
考え方があって
そこから部分へと枝分かれしていく
という思考から生み出される
ものです



全体に矛盾しないように
つくり上げていくわけですから
いきおい部分に
生命力が
感じられないものに
なってしまいます



何よりそこで
見失われがちになるのが
身体性ともいうべき
人間的視点です



  - 安藤忠雄

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いつのまにか
組織や国家といった
概念を守ろうとして
個人が犠牲に
なってしまって
いないだろうか


学問や学校が
主体となって
肝心の生徒を
置き去りにして
こなかっただろうか


技術の進歩に
目がいき過ぎて
人間の
精神性を
おろそかに
してきては
いないだろうか


マクロ経済を
論じているうちに
人間心理を
忘れてしまって
いないだろうか


文脈、ロジックに
とらわれすぎて
心を
見過ごして
いないだろうか


手段と目的は
あっというまに
すりかわる


いったい何が
本当に大切なのか
自問自答し続けないと
ただ
長生きすることだけを
望む
機械と余り
かわらない
存在になってしまう


大切なことは
激しい意見の対立
また 力強い
理論やイデオロギー
だけでは
決して
つかむことは
出来ないだろう


握り締めた
握りこぶしの力を
ゆるめ
深く呼吸をしたときに
初めて
理解できるもの


ある ふとした瞬間に
どこからともなく
静かに降りてくるもの


だから
その透明なささやきに
耳をかたむけられるよう
いつでも
自然体でいたい





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