。。人間は人生のある瞬間やある時期。。。。

。。望むと望まずにかかわらず、。。。。。。

。。全ての人間から離れて。。。。。。。。。

。。孤独になる時があります。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。そうした状態に耐えるための。。。。。

。。抗体をつくるための一つの試みとして。

。。いつの頃か親と子二人きりで。。。。。

。。夜を徹して歩き。。。。。。。。。。。

。。明け方を迎えることは。。。。。。。

。。子供にとって強い。。。。。。。。。

。。情操教育になると思う。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。日ごろの生活の規律をはずれ。。。。。

。。いわば何か無頼の生き方のように。。。

。。人が寝静まり、行き交う車も少ない。。

。。夜明けの町を過ぎ。。。。。。。。。。

。。あかりも乏しい道を歩いて。。。。。。

。。ふたたび寝静まった町にかかり。。。。。

。。その町を通過する。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。そうした途上に、おそらく日常。。。。。

。。家の中では交わすことのない会話が。。

。。二人の間に生まれるに違いない。。。。

。。それはある意味で、。。。。。。。。。

。。時間の流れをはずれた彷徨であり。。。

。。人間が馴れ合いで決めた約束ごとから。。

。。離れた、自由に対するあこがれの。。。。

。。姿勢ともなり得るはずだ。。。。。。。。

。。そして また、日中に劣らず。。。。。。

。。夜間の路上でさまざまな。。。。。。。

。。昼日中よりも直裁なドラマや。。。。。

。。ドラマの断片に出会うことが。。。。。

。。できるはずです。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。夜を徹して歩くということは。。。。。

。。いわば自分自身の生活の、。。。。。

。。日ごろ見る事のできない。。。。。。

。。背中の部分を覗いて見るような。。。

。。感慨を得るに違いない。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。

石原慎太郎

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。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。最近流行っている病気は。。。

。。「生きてるふり」病。。。。。

。。中身は死んでいるか。。。。。

。。ほとんど死んでいるのに。。

。。外側は生きている。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。

。。たちが悪いことに。。。。。。。

。。この「生きているふり」病。。。

。。に自覚症状は 全くない。。。。

。。だから 中身は死んでるのに。。。

。。身体は動くし。。食べるし。。。。

。。話したりもする。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。僕は 人がこの病気に。。。。。

。。犯されていると。。。。。。。

。。すぐわかってしまう。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。うつろな目。。。。。。。。。。

。。疲れた表情。。。。。。。。。。

。。何事もやる気がおこらない。。。

。。誰かを非難する。。。。。。。。

。。環境のせいにする。。。。。。。。

。。考えようとしない。。。。。。。。

。。感動できない。。。。。。。。。。

。。与えられない。。。。。。。。。

。。自分のことしか考えない。。。。。

。。得ようとばかりする。。。。。。。

。。人の目ばかり気にする。。。。。。

。。恥がかけない。。。。。。。。。。。

。。勇気がなくなっていく。。。。。。。

。。愛せない、愛されない。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。この病気の治療法は。。。。。。。

。。まず 本人が。。。。。。。。。。

。。「生きている病ふり」にかかっている。

。。ことに気づくこと。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。だから 僕は 「ねえ、ねえ、。。。。。

。。ちょっと ヤバイんじゃない??。。。。

。。最近流行のさぁ、、。。。。。。。。。。

。。生きているフリ病に。。。。。。。。。。

。。冒されているかもよぉ!!」って。。。

。。いったときに、、、。。。。。。。。。

。。症状の軽い人は、すぐに。。。。。。。

。。気づいて 生き返る。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。でも、重症の人は。。。。。。。。。。。

。。そんなことを言われようものなら。。。。

。。気づかないフリをして。。。。。。。。。

。。通りすぎる。。。。。。。。。。。。。

。。耳をふさいで、わめきちらす。。。。。

。。怒り出す。。。。。。。。。。。。。。

。。不安がる。。。。。。。。。。。。。。

。。僕がいないことにする。。。。。。。。

。。一度聞いても。。。。。。。。。。。。

。。忘れようとする。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。そして ますます 症状を悪くし。。。

。。周りに この病原体を。。。。。。。。

。。撒き散らし、。。。。。。。。。。。。

。。子供なんかつくろうものなら。。。。。

。。無理やりにこの病気をうつして。。。

。。部下なんか出来ようものなら。。。。

。。この病気にならないと。。。。。。。。

。。怒り出し。。。。。。。。。。。。。。

。。この病気にかかることこそが。。。。

。。人間の大人であることと。。。。。

。。周りに説いてまわる。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。「生きているフリ」病についで。。。

。。最近 流行っている病気は。。。。。

。。「考えているフリ」症候群。。。。

。。またの名を。。。。。。。。。。。。。

。。「インプット過多」症候群。。。。。

。。日本で特に多い。。。。。。。。。。

。。この病気にかかった人は。。。。。。

。。「常」に何かの情報を。。。。。。。。

。。頭に入れつづけないと。。。。。。。。

。。不安になる。。。。。。。。。。。。。

。。テレビ、ニュース、新聞、。。。。。。

。。ラジオ、インターネット、メール。。。。。

。。ゲーム、携帯、雑誌、会話。。。。。。。。

。。周囲に存在する ありとあらゆる。。。。

。。情報を頭に詰め込もうとする。。。。。。

。。ますます 不安になって。。。。。。。。

。。僕に頼みにくる。。。。。。。。。。

。。耳から情報を垂れ流しながら。。。。。。

。。「すいません、情報が足りません!」。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。「何を読めばいいですか?」。。。。。

。。「何を聞けばいいですか?」。。。。。

。。「どの講演会がいいですか?」。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。頭の中が「他人の考え」や。。。。。。

。。「常識」という得たいのないもので。。

。。いっぱいになって。。。。。。。。。。

。。「インプット過多」症候群の人は。。。

。。うつろな目をして。。。。。。。。。。

。。また 情報を探しに歩き出す。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。



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